『[図説]日本の植生』はもともとは30年前に岩瀬徹先生と沼田真先生が共著で出版されたもの。環境庁発足間もない時代で、公害の指標となる樹木や公害に強い樹木という視点で”環境問題の手引書”的存在だったが、30年が経過し、当時とは植生に大きな変化が進んだため、今回各分野の専門家が担当して、章立ても大きく変更を加え改訂して出版したもの。前版の沼田先生は既に他界された。
新版の出版にあたっては縁あって岩瀬徹先生が福嶋先生に声をかけ、参画。

前版に掲載した自然の写真のほとんどの場所が大きく変化してしまった。
さらには、植生を教える側の、“緑の体験”が乏しくなってしまった。“環境教育”というコトバが市民権を得たものの、ひずんで使われている。すぐ目の前にある緑、自然をどう見るか、学校の校庭に生えてる雑草でもなんでもいい、自然っておもしろいよ、身近なものだよ、と伝えるための切口をこの本で提供したい。

日本の自然はやわじゃない。昭和21年9月発刊の冊子『採取と飼育』に掲載された“立ち上がる雑草”を撮影した写真が象徴的。広島の原爆あとには植物は生えないと言われていたのに。玉原高原の湿原のように湿原の復元はある程度可能だが、海浜植物群落の回復はむり。諫早湾のシチメンソウ群落はもう見られなくなって残念だからこの本に写真を掲載しました。

一方、人間が森林や里山を利用するあり方“木を育て、手入れをし、伐採し、製材して…”という資源を利用するサイクル/一連の流れが切れてしまっていて、維持管理が非常に困難な状況。現実的には、自然にかえすところ、利用するところ、を分けて(ゾーニングして)いくことが今後大切。景観をどうするかという視点も必要。

自然とつきあるコツは、とにかくあまり肩肘はらず見て歩く。日本には海外ではみられない“雑然とした美しさ”がある。
身近に楽しめる自然としては、今日ここにOBの人がいるから言うのではないが、30ヘクタールの一橋大キャンパス!沼田市の玉原高原もよい。明治神宮と目黒の自然教育園なども都内だからすぐ出かけることができる。是非見比べてみてほしい。

草木の名前を知るのが目的/最終ゴールではない。こだわらずにとにかくいつでもどこでも観察して欲しい。教育の現場でも、雑草をキレイにしてしまう(駆除してしまう)のではなく、自然の一員として認める姿勢が必要。ルーペを普段から持ち歩き、街路樹のまわりに生える雑草の葉の裏でものぞいてみては?