河野 正次 (昭31商)

寒中に思う

東京に本年初の雪が降ったのは1月21日土曜日のことでした。 中一日置いた今日23日月曜日に、私の住む板橋区にある乗蓮寺の東京大仏を見に行ってきました。

九州に生まれ、九州で育った僕は子供の頃、雪の朝に母から叩き起こされて、「其れ見ろ外は銀世界」と言われた。 母はまた雪の翌日は「継子の着物洗い」と言って、必ず晴天だとも言った。
今日歩いて東京大仏に行って見ると中々の大きなお寺で、大仏も一見の価値はあると思った。
デジカメに2枚収めたが、一昨日の積雪はまだ辺りに十分に残っている。
東京の大寒のこの節、気温が低い為に雪が溶けきれないのである。

僕が60代の10年間を過ごした南仏ニースはどうだろう。  ニースでは霜は降らないが、雪は20年に1回の割合で降ると言う。 幸い僕は10年間の滞在中にニースでの積雪を体験した。  早朝に一面5-6センチは積っていただろう。 しかし東京と違う点は、ニースの雪は午前中に陰日向の区別なく完全に溶けてしまった。   これは最低気温が絶対的に高いからである。 普通厚いオーヴァーや手袋は無しで過ごせるニースの冬は将に避寒地、そして夏は避暑地である。 何百年にも亘り、欧州の王侯貴族、文人墨客、哲学者が暮らしたこの地は将にこの世の天国、極楽である。 その感を今回帰国後10ヶ月目にしてしみじみ実感した。

去年の12月6日から今年の1月6日まで一ヶ月間をニースにて過ごしたが、その間スキーでは本場アルプスのスキー場で友人達と3回、そして寒中海水浴は3回した。 そしてハイキングは6回。
12月13日に友人と二人で海水温13度の地中海で泳いだ。 そして12月18日にはニース市が主催する第61回クリスマス寒中水泳大会に参加、約330名が参加。 僕は最遠国JAPONからの参加者としての特別賞品を頂戴した。 其の時ニースの西アンティーブ市主催の元旦海水浴大会の案内チラシを受け取った。
これにも僕は単身で参加。 130名位の参加者がいた。  ニースにせよ、ここアンティーブにせよ毎年伝統の冬の催事で泳ぐ人の他、多くの見物客は多い。  何とここでは僕は男子最高齢者賞71歳の東京ジャポンからの参加 ムッスュー マサジ コウノ とマイクで呼び出され賞品を授与された。 女子の最高齢者賞は60歳の地元のご婦人であった。 賞品を貰い、いつしか僕は其の叔母さんと歓談しながら、楽しく、フランス語会話の実践勉強をする抜け目のなさであった。
フランスには日本みたいに 敬老の日 なんては無いが、60歳以上者は国鉄運賃は半額だし、70歳以上は5歳未満児と同様にスキー場でのリフト券(ゴンドラなど、、)は無料である。 少しは日本のこれら業者もフランスを見習ったらどうだいと言いたい。   なお寒中海水浴について付言すれば、僕は何時も冬場にニースで泳いでいた。 水温12-3度といえば、足先にせよ、身を海水に付けた瞬間は皮膚一面針で刺されたように痛い。冷たさを通り越しているのである。 でも本の数分間を全力で泳ぎ丘に上がると、何たることか、全身がポカポカと火照り返り、その身体の躍動が一日中持続するのである。 人間この世に生れ来て、この空前絶後の無上の快感を味わうことなく死んで行くとすれば何とも心残りなことであろうぞよと思う。

 

2006年 1月 23日 河野正次