福 嶋  司

一橋植樹会が、教職員・学生に呼びかけて本格的な緑の管理活動を開始してから数年が経った。キャンパスの環境は開始した時に比べると見違える程に整然としてきた。そして、それを実行した一橋大学のOB,教職員、学生が集まる全学一体となった組織ができたことがなによりも喜ばしい。この様な体制でキャンパスの管理を行っているのは、一橋大学以外にないであろう。

キャンパスの作業の歴史を振り返ると懐かしい。活動当初のキャンパスは、学内の中心部の植え込みはツル植物に覆れ、競争と衰弱の状態におかれた木々も多かった。それを多くの一橋植樹会の人々が、枯死木の伐採、除去、不要な木の伐採、竹林の整理、ツルと草本の刈り取りなどの作業を少しずつ進めた。スタートからの作業は、「除去」を中心とした管理であった。しかし、それはそれで樹木伐採という、日頃は経験できない作業でもあり、楽しくもあった。作業の回数を重ねる毎にOB,学生の参加者が増えたこと、草刈り機をはじめとした機材が充実したことなどから、1回に作業が進む範囲も格段に広がった。特に、草本の管理は、鎌で刈っていた時に比べると数倍の効率になったかも知れない。

最近の活動を象徴する一つの例は、兼松講堂の西にある矢野先生の銅像の周囲での植生管理作業であろう。そこには、何種類もの雑多な樹木が植栽され、銅像のまわりに植えられたドウダンツツジは日陰で成長も悪く、花も咲かない状態であった。2回にわたる樹木の伐採と枝の剪定、新たな植栽によって景観は一転し、明るく整然とした環境になり、植栽当時の景色に近づいてきた。今後はドウダンツツジも樹勢が回復して花を咲かせるであろうが、なによりも鬱蒼とした暗い空間から解放された矢野先生が一番お喜びではなかろうか。

作業に変化も起こってきた。繁茂する草本を対象とした草刈りは続いているものの、樹木に関する作業内容は「切る」から「植える」が動き出したことである。兼松講堂の周辺には、往時の植栽を再現してサクラが植えられたし、岸田ロードには上品なピンクの花を咲かせるサクラ(フゲンゾウ)が植栽された。さらに、陸上競技場の南東角にはススキ、マルバハギ、オミナエシ、フジバカマなど秋の七草の草原が造成された。草原の形成は順調で、その場所で中秋の名月を愛でながらの反省会も夢ではなくなった。さらに、今後は、キャンパスの南西の角、山岳部の建物の南に植樹会によって樹林帯の造成が計画されているし、東キャンパスでは、学生による記念植樹の計画もあると聞く。管理計画に沿って、一つひとつ計画が実現されることは何とも楽しいものである。

さて、計画に沿って実行してきた作業ではあるが、今後は大学と植樹会とがどのように分担をしていくのか、役割分担の検討も必要な時期に来ているようにも思う。各所に伸びる草本の定期的な管理は、多くの人手が必要なことから、やはり植樹会が分担する必要があろうし、クズ、ヤブガラシ、フジをはじめとするツル植物の管理も、一つひとつ丹念に作業をする必要のあることからパワーを持つ植樹会の分担であろう。そうすれば、草刈りに業者を投入する必要がなく、大学としても経費の節減もできるかもしれない。しかし、一方では、大学でしかできない作業もある。伐採が必要な樹木は以前に比べて少なくなってきたし、われわれ素人が鋸を使って伐採できるものも少なくなってきた。小さな木の伐採や簡単な枝打ちはこれまでどおりに植樹会が行うにしても、大きな木の伐採は危険を伴うことから、大学側の分担として業者にお願いすることになろう。また、今後の樹木の植栽にも今までと同様に大学との協働が欠かせない。その他の財源を必要とする作業はやはり大学が力を発揮する分野であろう。今後は、一橋植樹会と大学とがいつ、どこで、何を、どのように作業するのかを相談し、緊密な関係の中で作業を進めていただきたいものである。

以上