社会学部4年 幅 諒子

11月29日。秋晴れに恵まれたこの日、私たちは国際基督教大学(以下ICU)キャンパスを訪れ、自然豊かなキャンパスの見学とそこで行われている自然環境保全活動の勉強会に参加しました。

◇キャンパスは地域全体の財産◇
広大な敷地を有するICUキャンパス。かつて中島飛行機の研究所であった名残で、正門からつづく長い桜並木には「滑走路」との呼び名がついているそうです。その先にある礼拝堂の周りでは、建物と調和するように植えられた木々の葉がちょうど赤や黄に色づいていました。

鈴木典比古学長はICUキャンパスについて「ICUのリベラル・アーツの教材として、さらに地域全体の財産として保存・活用していきたい」と語ります。その言葉の通り、キャンパス全体を教室にした自然科学の授業があるだけではなく、ある一画は他大学や研究機関に実験林として貸し出され、また別の一画はNPO「どんぐりの会」の苗木を育成に利用されています。

また、敷地内には、ICU設立前から存在する国登録文化財の建物群「泰山荘」があります。天気の良い日には富士山を望むことから名付けられた泰山荘の裏手は、国分寺崖線の険しい崖になっており、そのふもとまでが、なんとキャンパスの一部なのです。

◇今も残る武蔵野の森と自然◇
キャンパスに広がる自然の特徴は、昔ながらの「里山」が残されていることです。クヌギやナラを中心に農業・林業に利用される木々が植えられ、人の手で管理されることによって豊かな生態系を保ってきました。現在では伐採こそされなくなったものの、地元農家の人たちが堆肥をつくるための落ち葉掻きをするなど、人と自然の共存がなされています。

ICUで生物学を教える上遠教授は、マヤラン、キンランといった希少植物がキャンパス内で多数生育していることを教えてくれました。さらにここで育まれているのは植物だけでなく、サンショウクイなど渡り鳥、タカのような猛禽類もキャンパスに広がる森で羽を休めていくそうです。

外来生物の増加などの問題も見られますが、キャンパス内での建設工事をきっかけに植生調査が行われ、自然と調和したキャンパス計画が進められています。

◇環境保全の担い手◇
この貴重な自然の保護活動に中心となって取り組んでいるのは、「ICU森の番人」と、その学生組織「やんもり(ヤング森の番人)」です。森の番人はICU第3期卒業生の有志が立ち上げた組織で、キャンパスの自然環境問題勉強会を開催するなど、学内外への環境問題の周知に努めています。

また、やんもりメンバーの鈴木さんは、「キャンパスの豊かな自然と触れ合うことなしに卒業してしまう学生が多いのが残念」と話します。「もっと学生と自然を結び付けていきたい」と、季節ごとに変化する風景楽しむ「森散歩」やキャンプスペースを設置しての焼き芋、学校祭では訪れる子供たちとどんぐりで工作するなどと、身近な自然環境を知ってもらうための企画を実施しています。

今回のキャンパス見学では、まずICUの広大な敷地と自然環境の豊かさに驚かされました。同時に、それらを保護し、学内だけではなく広く地域に開放することで人と自然の関わりを強めていこうとする活動の意識の高さを感じることができました。

私たちもまた、一橋大学という大変恵まれたキャンパスを学び舎としています。豊かな緑、さらには国立の町並みと調和した美しい景観を保持していくために、一人ひとりができることをしていかなければならないと、改めて気付かされた一日でした。

キャンパス見学中

キャンパス見学中

泰山荘中での記念撮影

泰山荘中での記念撮影