作業班 湯川 敏雄(昭42社)

平成23年も早や12月。作業班の班長という大層な役を仰せつかって1年半になるが、この1年の植樹会の作業を振り返っての感想を思いつくままに記してみたい。

まず何よりも印象が鮮烈なのは3月の定例作業日に起きた東日本大震災である。(今年を語るに、あらゆる面でこの災厄を離れては語れないであろう。)この日の作業は東キャンパスの柔剣道場の周囲の整備であったが、地震の瞬間は、古い建物の壁が激しく揺れて、軒下に避難した学生に「建物から離れろ!」と思わず声を張り上げたほどであった。

ただ、問題は揺れがおさまった後もそのまま作業を継続し、例月どおり作業後の交流会まで実施したことにある。本来ならば、作業を中断しての安全確認、災害情報の収集と伝達など、いわゆる危機管理と称することを行なわなければいけなかったのに、何もできていなかった。〝キャンパスの建物に被害なし〟との情報は得ていたが、全く同じ時間に、別の場所では2万人近い人たちが命を落としていたことを考えると、「安全」を口にしていながら、いかに無防備で漫然としていたか、後から反省するばかりである。

次に挙げるのは通算100回記念の定例作業(11月)である。8年前に10数名でスタートしたものが、今は会員が1,000名を超え、作業には年間1,200人を動員する体制になっている。まさに「継続は力」である。これだけ多くの人が集まるには、崇高な理念や高い意識などはさておき、「参加して楽しい」ことが最低限必要だと考える。単純に体を動かして汗をかく、作業の出来映え、人との出会い、作業後の一杯のビールなどなど、人によってウェイトは違っても、そこに楽しみを見出せることが肝要である。

今年は、作業面では目先の課題に対応して、木を切ったりアオキを植えたりとバリエーションを考えた。交流会も、いろいろご苦労があったものの、満足度の高い準備を行なうことができたと思う。これからも衆智と工夫は欠かせない。誰もが自由に提案でき、それぞれの役割を果たせる雰囲気は大事にしたいものだ。

その中で、学生植栽ゾーンが設けられ、花壇がつくられた。素晴らしいことである。某先生曰く。「何よりも学生から言い出したことが良い。必ず望みをかなえてやるべきだ。」と。加えて、夏休みの水遣りにも周到な手配をして、見事な花を咲かせた。あとは後継する学生が出てきて、この花壇が継続、定着することを見守りたい。

毎月の作業場所については一応大まかな年間作業計画は作られているものの、実際の作業は、大学の整備予定を聞き、施設課の伊藤さんと相談しながら候補を絞っていく方式をとっている。当然のことながら大学は行事のタイミングにあわせて業者への作業発注を行うことが多く、一般に外来者の目に付く場所ほど手入れの頻度は高くなるように見える。

その結果、すでに気付いておられる方がいるかもしれないが、従来植樹会の定番コースと言ってきた西キャンパス中央庭園は、今年は4月に1回清掃作業をしただけである。一方で西プラザより奥、ひょうたん池から岸田ロードにかけては5回の作業回数を数える。このことは植樹会の役割が減ったと悲観すべきものでなく、むしろ本来大学が行うべきことをきちんとできるようになったと喜ぶべきことであると考える。

さて、幾度かひょうたん池周辺の作業を進めるうちに、このエリアを人が集うように整備し、哲学の道のサークル周囲をサクラの園とするような構想が考えられるようになった。ひとつの思い付きであるが、植生に配慮しながら、キャンパスの住人が心地よくなれるよう提案をしていくのも植樹会の役割のひとつではなかろうか。

また、定例作業ではどうしても時間が足りないので、幾人かの有志の発案で丸2日をかけて岸田ロードの草刈を行った。この評価は高く、10月の休日作業の日に行われたキャンパスツアー後の緑の10景の投票で、岸田ロードは極めて高位にランクされた。

草木を相手の作業には必ず季節=時期の問題が関連するものであり、将来は、臨時的な、あるいは記念植樹管理など場所や内容を特定した作業の体制を検討する必要もあるかと考える次第である。

来年は、今まで植樹会が憲法としてきた「緑地基本計画」のレビューを取りまとめるべき時期にあたる。別の次元では周到に準備を重ねてきた植樹会の寄付講義がいよいよ実現しそうにある、と聞いている。大学に「緑」を学ぶ講座が誕生するわけである。今年の100回記念作業を階段の踊り場として、来年は次の階段を1段上がりたいものだ。そこで新たにどのような景色が見えてくるか、期待をしたいものである。(今年は、未曾有の災害の中で、涙目の鬼を多く見てきた。せめて最後には鬼の笑い顔を見てみたいものだが、この程度で笑ってくれるであろうか・・・・。)

以上