シメ  (スズメ目アトリ科) 全長18cm 留鳥

シメ

シメ

観察ポイント:学内全域

観察ポイント:学内全域

私の愛用している『フィールドガイド 日本の野鳥』のシメの項には、文頭に「太っている」と書かれています。これはあんまりな書き方だと思うのですが、確かにずんぐりした体形の鳥です。太い嘴は堅い木の実を割るのに適していて、その力は30kg重以上といいますから「穀物を粉砕するもの」という意味のギリシア語に由来したというCoccothraustes coccothraustesという学名がついたことも納得できます。この嘴は、夏には鉛色で冬には肉色になります。羽ならば生え変わって色が変化するとわかるのですが、どうやって嘴の色を変えているのか不思議に思っていました。調べてみると、嘴の外皮がはがれて色が変わるのだそうです。
地味な色彩なので、見つけにくくわかりにくい鳥かと思いますが、この太い嘴と黒い「よだれかけ」が特徴です。日本では北海道でのみ繁殖し、本州以西では冬鳥です。学内では一羽か二羽でいるのを見かけることが多いですが、春の渡りの前には群れをつくるといいます。
地方によってはシメとイカルは雌・雄と思われているそうですが、この2種は別種の鳥です。ただ、似たような体型、同じような場所で同じようなものを食べるため、こうした誤解が生じたのでしょう。万葉集にも斑鳩(いかるが=イカル)と比米(ひめ=シメ)が夫婦であるとの前提を踏まえた歌があります。私が昨年11月に大学内でシメを見つけたときにもイカルと一緒にいました。ある日の午後、兼松講堂脇の庭園の林の中からパチン、パチンと何かが弾けるような音がしてきました。不思議に思って辺りを見回すと、ぷっくり太った鳥の群が。太い黄色い嘴に黒いベレー帽姿のイカル数羽と、似たような体つきに黒いよだれかけ付きのシメがしきりに木の実を割っていたのでした。イカルが一年を通してよくさえずり美声を披露するのに対して、シメは「ツツッ」とか「ピチッ」と鳴くだけでほとんどさえずりません。寡黙で控えめな性質のようです。

法学部4年 中野晶子