シロハラ  (スズメ目ヒタキ科) 全長24cm 冬鳥

シロハラ

シロハラ

観察ポイント:兼松講堂の左脇

観察ポイント:兼松講堂の左脇

私がバードウォッチングを始めて間もない頃のことです。やぶの蔭をこっそり逃げてしまった正体不明の鳥をめぐって、ベテランバードウォッチャーがこんな会話を交わしていました。「あの逃げ方はシロハラだね。」「うん、あのいやらしい逃げ方は絶対そうだ。」「そうそう、チラッと振り返ってこっそり逃げていくのね。」そのときは見そびれてしまい、「そこまで言われるシロハラってどんな鳥だろう?」と興味を覚えました。
その後シロハラを目撃する機会には数多く恵まれましたが、その度に、あのときのベテランバードウォッチャーの会話がよみがえります。シロハラは、とても引っ込み思案でシャイな鳥です。やぶを歩きながら落ち葉をはねのけて餌をとり、なかなか明るい場所に出てきてはくれません。茂みの中からガサゴソ音がするので姿を確かめたくて仕方が無いのに、こっそり隠れて逃げてしまうバードウォッチャー泣かせの鳥です。
全体的に灰褐色の体色をしており、際立った色の特徴が無いのが特徴ともいえるシロハラですが、見れば見るほど「お腹、白いかなあ?」という疑問がわいてきます。同じツグミの仲間のアカハラは、腹部は白いものの胸と脇がオレンジ色をしているので納得できる名前であるのに比べ、シロハラのネーミングは誤解を生みやすいネーミングだと思います。「薄黄色のツグミ」の意味である、学名のTurdus pallidusは、その点妥当と言えるのではないでしょうか。
今シーズンはこの厳しい寒さゆえか、関東地方全域で冬鳥の渡来数が少ないそうです。特にツグミ類は非常に少なく、シロハラも今年はレアな鳥です。昨冬は兼松講堂脇などキャンパス内のあちこちで観察できたのに、この冬は彼らのガサゴソ餌探しをする音も聞こえず、寂しい限りです。帰り行く冬鳥たちを、「今度はたくさん仲間を連れてきてね。」と見送りたいものです。

法学部4年 中野晶子