メボソムシクイ (スズメ目ヒタキ科) 全長13cm 夏鳥

メボソムシクイ

メボソムシクイ

学内全域

学内全域

昨年秋以降、修士論文執筆のため「今月の野鳥」をお休みしておりましたが、もうしばらく大学に残ることになり、またここに書かせて頂くことになりました。

「メボソムシクイ」は、漢字では「目細虫喰」と書きます。とはいえ、別に目が細いわけではなく、目の上の眉のような黄白色の模様が比較的細いことからつけられた名前のようです。以前、センダイムシクイのときにも書きましたが、ムシクイ類はどれも非常に似通っていて区別しにくいのが難点です。しかし、さえずりにはそれぞれ特徴があり、このメボソムシクイは「ジュリジュリジュリジュリ」と鳴きます。「銭取り銭取り」と聞きなす(鳴き声を言葉に置き換える)そうですが、そう聞こえるかどうかは少々疑問です。学内では春と秋の渡りのときにだけ見ることができます。

現在「ムシクイ」と言えば、ヒタキ科ウグイス亜科のこれらの鳥を指します。「虫喰」と書く通り、昆虫を餌とすることからついた名前ですが、昆虫を食べる鳥は別にムシクイ類だけではありません。事実、江戸時代の資料を見ていると、鳥や小動物をあまり採餌しないタカは「むしくい鷹」、一見そのようなタカに似ていて、やはり毛虫などを食べるホトトギスの仲間の一種も「大むしくい」などと呼ばれていたようです。また、『枕草子』には、鶯が夏や秋になって鳴くのを「虫喰」と呼ぶという記述があります。ムシクイ類はウグイスと同じウグイス亜科の鳥であり、姿もよく似ているため、清少納言の言う「虫喰」がウグイスであったのか、それとも現在でいうムシクイ類をウグイスと混同したのかは不明です。しかし、平安時代から「虫喰」という名称があったことは確かだと言えるでしょう。ムシクイ類は、姿のみならず、実は名称もややこしいのでした。

言語社会研究科博士後期課程1年  中野晶子